夏の終わり
夏になるとうちの周りの木に
たくさんの蜂の巣ができ
キイロスズメバチが
ブンブンと飛び回っているので
お客さんが刺されやしないかと
ものすごく恐怖で
蜂の巣駆除に余念がないのですが
この間の夏は暑すぎたせいか
珍しく少なく
いてもせいぜいミツバチみたいな
小さな蜂が数匹だったので
そこが猛暑でよかったなと思える
唯一のところでした
なので家族総出で油断していたのですが
夏の終わりに見つけてしまいました
自宅3階部分にあたる窓際にぽつり
この巣の蜂たち
出入りが激しくて
せっせとみんなで何かを運んでいます
さては巣を大きくする気だな
と思いましたが
スズメバチではなさそうだし
3階部分だから
巣があったからといって
そんなに不自由もなく
冬がくれば自然と空き家になるだろう
そう思って経過を見守っていたのですが
どこからか蜂の巣の存在を聞きつけたじぃじが
簡単だから
オレが取ってやる
こんなの簡単だから
と特大ゴミ袋を全身にかぶり登場
これ刺されたら一発だな
と思いつつも
いやいや、ほんと簡単
というじぃじの強い主張と熱意に負け
スズメバチじゃないし
万が一刺されても大事にならないだろう
という希望的観測もあり
蜂の巣駆除をお願いすることにしました
そうと決まれば早いに越したことはない
ビニールもすでにかぶって準備万端だし
意気揚々と外に飛び出し
サササッと蜂の巣を取ってくれました
あんな高い所のまで取れちゃうんだね!
じぃじすごいっ!
と子供たちの英雄となったじぃじ
やっぱり熟練の技は違いますね
ビニール袋という軽装備でも
見事刺されることなくやり遂げ
本当に尊敬しました
それから一週間後
夏のシーズンが終わり
いつもの日常が戻ってきた頃
半地下になっている家の1階倉庫部分から
きな臭い匂いが漂ってきました
火事か!?
と慌てて外に飛び出し
恐る恐る覗いてみると
ものすごい量の煙が充満していました
その割に熱さはなく
これは大変なことになったぞ
と思うも
どう大変なのかよくわからない状況に
戸惑っていると
大量の煙の中から
この状況よりもさらに大変な苦笑いをした
じぃじが少しむせながら出てきました
どうした
なにがあった
と聞いてみると
それがなぁ
地下倉庫はちょっと暑すぎたな
羽化しちまった
じぃじの話を聞いても
はてなしか浮かばなかったのですが
粘り強く聞いてみると
どうやら
蜂の巣の中にいる蜂の子が
かなり美味く
大好物なんだ
と
それ目当てで
蜂の巣駆除を買って出てはみたが
一週間地下倉庫に寝かせておいたら
思いのほか暖かく
蜂の子が蜂と化し
蜂からの第2波をくらってしまった
と
大好物が敵となってしまった切なさの中
煙幕を片手に2戦目もギリギリ勝利した
満身創痍のじぃじを
呆然と見守ることしかできなかった夏の終わり
寒い日が続くと懐かしく思い出すのでした